星ゆきこさんのこと

16日に開催したワタシのコンサート@一関は、ワタシの“レコ発”ではありましたが、共演の星ゆきこさんあっての開催。

星さんとは3年前に友人を介して知り合いました。その友人は耳の聴こえない彼女をワタシのコンサートに誘ったのです。“何か感じるものがあるだろう”と思ったんですって!

暫くして星さんの地元二戸(にのへ)で、彼女の手話とコラボすることに。
しかしながら、どうも勝手が掴めない。星さんの動きを邪魔しないよう、アクションを控えて歌うのは思いの外難しく、また見た目もぎこちない。

それでも、これも芸の幅を広げる良い機会と前向きに捉えました。
このユニットが何かしら社会に役立つ日が来るかもしれない…そんなことを思いながら。
(事実、その後障がい者支援の音楽祭@鹿児島に呼んでいただくこととなる)

さて、一関には星さんの強力な応援団があって、ワタシと共演する度に二戸へ、盛岡へ…そして、燈門にも来てくださった。
「これは何としてでも一関で開催しなければ!」と思いつつ時は流れ、しかも、今回の主催の“里山ジャパン”さんが折角押さえてくださった日程をワタシの都合で延期…ようやくの開催だったのです。

さて、星さんのハンドサインボーカル(手話)との共演は今回で8回目。
2ndアルバムから「折づると少女」を新たにレパートリーに加え、マンドリンシンガーの清心(きよみ)さん作曲の「ココロの風」を清心さんに代わってワタシが歌うという試みも。

向かい合って立ち、ワタシの唇がよく見えるように、そしてワタシは星さんの動きを邪魔せずに、手話とどう音楽的に連動するかを探りながら練習を重ねたのです。

更に、今回は星さんに“とある試練”を与えたのですっ!!
それは“歌詞を見ずに”パフォーマンスすること。
譜面台に置いてある歌詞カードに視線を落とす瞬間、どうしても見る者の感動レベルが下がってしまうと説明。

とはいえ、歌い手のワタシもメロディーがあるからこそ詞が頭に入るわけで、暗唱せよと言われるとなかなか難しいもの。
ましてや聴こえない星さんにとって、詞を手話と共に覚えることはハードルの高いものでしょう。
あまりに詰めれば「だって聴こえないんだもん!」とキレられやしないかと、実は心配もしていたのですが、星さんならやってのける!そう信じていました。

星さんの今回のパフォーマンスはワタシとのコラボが5曲、ソロが1曲、朗読が1曲の計7曲。恐らく彼女にとって過去最多だったかと。
かく言うワタシも歌詞の間違いなど毎度のこと(最近は曲順すら怪しい)「堂々と間違えよう」と互いを励ましたのです。

星さんが歌い手とタイミングを合わせるには、歌い手の唇を読むこと、そして足から伝わる僅かな振動が頼り。練習中に星さんがこう言ったのです。
「裸足でやる!」と。
成る程、そうすることで振動が感じやすくなるわけだ・・・この星さんの“決意表明”の一言で、ワタシの本気度はグググッとupしたのですっ!!

さて、互いにファッション関係の仕事をしていたという共通点もあり、衣装選びもコンサートの前の楽しみのひとつなのですが、今回の1部は“命”がテーマ。
結果、全身白ということで意見が一致。“あんただけ裸足ではあんまりよ!”と、ワタシも裸足で歌うことに。
全身白のヒラヒラ系で、しかも裸足!まるで新興宗教の教祖のようと笑い合い、本番当日を迎えたのです。

会場入りすると、既に里山ジャパンのスタッフと星さんの応援団がテキパキと会場設営をしていました。
さすがは福祉事業に長年携わってきた星さん!彼女の発案で能登半島地震の募金箱も設置。
安心してリハーサルに集中。会場の写真の中に目ざとく(笑)見つけたミラーボールの動作確認もして、さ〜て!白装束に着替えて出待ち。

いつものことですが、本番などあっという間。温かい拍手と笑顔に包まれ、終演。
過去一番の出来と讃え合ったのです。

皆様、この不思議なユニットを今後ともよろしくお願いいたします。
次回のコラボは秋頃かなぁ?