陸前高田は、かの津波で壊滅的被害を受けたまち。
震災の2ヶ月後にまだ瓦礫の残る状態を目にし、それから年に1度は訪ねてはその復興を目に焼き付けてきた。
陸前高田駅でBRTを降り、スーツケースをコインロッカーに預け、震災遺構「米沢商会」へと坂を下りる。
そして、畑の一本道を歩き、国営の追悼施設・高田松原津波復興祈念公園へ歩いて向かった。
来るたびグッとこみ上げるものがあるなぁ。そのデザインの素晴らしさ、霊界と通じているような錯覚に陥るのよ。
献花台に登り、大海原と広田半島を望む。植林された松もたいぶ育ってきたようだ。そして陸側を見れば新市街地が見える。
山を削り巨大コンベアでその土砂を運び嵩上げする壮大なプロジェクトを完遂。嵩上げされた土地に新市街地は形成されたのだ。
この祈念公園や、隈研吾設計の“街の縁側”など、デザイン性の高い建築が点在する一方で、その嵩上げの終了を待ち切れず高台に住居を構えた市民が多く、新市街地の周囲は更地だらけ。これをどう活用するかが喫緊の課題だと、祈念公園前から乗った電動ミニバス「モビタ」のガイド兼ドライバーが切々と語っていた。
「モビタ」は発酵パークカモシー、ワタミオーガニックランドなど、巡るルートが決まっており、各ポイントでその施設の特色などを説明してくださる。途中乗降可能で、土日祝は乗り放題500円。平日は乗車毎に100円と市民の足としても利用されているそう。
車両もかわいいし、陸前高田の“今”を現地の方の肉声で聴くことができるなんて素晴らしい企画!是非乗ってみてね。
いやはや、陸前高田の未来感は素晴らしいぞ!立派な施設を建てる予算を他のことに充てれば…との意見もあるのだろうが、ワタシは人が集まること、こどもが喜ぶことが大切かと思う。ワタシに…じゃなくって、モビタに手を振る震災後に生まれたこども達の笑顔を見てそう思った。
ドライバーさんから、完成したばかりの市立博物館に、今ちょうどロダンの「考える人」が展示されてると聞き、下車後訪ねた。その横に高田高校の実習船「かもめ」が!
津波で沖に流され、約2年かけて太平洋を横断し、米・クレセントシティに漂着。こんなことがあったとは知らなかったワタシ。傷だらけのその船の姿に胸が熱い。
陸前高田まで来てよかったなと、しみじみしながら駅へ…おっといけねぇ、スーツケースを忘れるところだったぜ!
そして、大船渡に戻りチェックインして、ビールが美味しくなるよう外出直前に風呂に入り、脱水状態でBee Beeへ。そして、獣のように肉を喰らったのでございます(笑)。
さて、タイトルにした「気仙国」。大船渡市、陸前高田市、住田町、そして宮城県気仙沼市を気仙地方と呼ぶらしいが、盛岡、仙台からも遠いし…何か独特の空気感があるのよね。気仙大工と呼ばれる民家の建築はもちろん、寺院の造営、細工までもこなす多能な集団が存在したり、金の産地だったりと、小さいながらも何だか一つの国家のような感じさえするのよ。