「折づると少女」

♪二つに区切る青空が 窓の向こうにありました…
ママさんコーラスに所属していた母が、ワタシが小学生だった頃に台所で口ずさんでいたこの歌。
失明、そして階段から転落して車椅子生活となり、仙台の施設に入居してから緩やかにさまざまな記憶もおぼろ気となる中、この歌だけはよく覚えているようで、ワタシが口ずさむと続けて歌っておりました。

数年前からこの曲のタイトルを知りたく、そして出来れば楽譜がほしく、音楽家の友人に問い合わせたり、SNSで呼びかけたりしておりましたが、遂に判明!
関東在住の友人が「これではないか?」と突き止め、なんと国会図書館まで出向き、楽譜も入手してくれたのです。その楽譜を盛岡のピアニストに弾いていただいて録音し、昨日その音源を母に聴かせることが叶いました。

「折づると少女」作詞・成瀬左千夫 作曲・渡部節保


また、お客様から母が在籍していたそのコーラスグループを前身として発足した合唱団があるとの貴重な情報も入手。なんと、後日その合唱団のコンサートのパンフレットを持ってきてくださったのです。全団員のお名前が記されており、眼の見えぬ母にひとりひとり読み聞かせたところ、お一人のお名前の記憶があるとのこと。事情を説明した上で、この合唱団の練習日にお邪魔して、その方と母がコンタクトを取れるようにしようと思います。
ワタシが盛岡にUターンした理由がひとつ、こんなところに隠れていたのだなとしみじみ。

さて、施設から母を連れ出し、久々にパパと三人で外食。母は三度結婚したのですが、三人目とも離婚するなど、これまたドラマチックな人生を送ってきましたが、この三人目のパパまだそこそこ仲が良いようで、こうして時たま引き合わせているのです。パパとワタシは血縁はないものの関係は良好。
パパったらめちゃくちゃ嬉しかったらしく、お店(焼肉店)で待ち合わせたのですが、先に着いていたパパが既にあれこれ注文を済ませており、自分とワタシ用の大ジョッキがデーンと置かれておりました(笑)。



会食後、パパと別れて再び施設へ。
久々にパパとワタシと話せてご機嫌な母は、何度も何度もその歌を口ずさんでおりましたが、ちょっとオネムな様子。母を寝かせてそっと部屋を後にしました。
帰路の車中で母の歌声を思い出しては、気丈なワタシも涙しました。



「折づると少女」は母とワタシのテーマソングとなりました。 これまでご協力くださった皆様に深く感謝いたします。
ありがとうございました。