イッセー尾形さんの舞台を観た

お名前は存じ上げていたが、どのような芸をなさるのか知らなかった。

街角でふと目に入ったポスター。
「ほぉ、賢治さん絡みの芝居か。こいつは観ねばならぬ!」
やはりポスターのデザインって大事ね。ジャケ買いみたいなもんだったのよ。



で、昨日。
10〜20分の演目をいくつか、休憩なしの上演。
いやはや…「いがった」のひと言。
なんて知的で品のある御仁なのだらう!
特に“雪子の冒険”というお面を使った立体紙芝居は秀逸!そこに、“銀河鉄道の夜”のストーリーを散りばめるだなんて斬新すーぎーるー!

照明、BGM、小道具は最小限で行われ、落語のようでもある。
演目はパンフにすら記載されていない。てか、パンフすらない。
ネタとネタの間は、舞台の隅でいわゆる生着替え。そこで、観客はお次はこんなネタかな?と想像を巡らせるワケ。
着替えが済んで舞台中央に移動し、ちょいと暗転した後、即座に始まる芝居。一瞬で観客の心は鷲掴みされる。
最後は老いた女性シンガーの物語。なんとギター弾き語りも。歌も上手い、天才なのねぇ…。
終演して客電が点いたとき、なんだか会場が浄化されたようにスッキリとして見えた。



実はまたもぎっくり腰をやらかして、えっちらおっちらお出かけしたのだが、
「ワタシは歌で食っていけるほど上手くないし、フルートなど、アマチュア吹奏楽団で吹いていただけ。店も大した繁盛店ではない。
だがしかし、店で不特定多数の方々と接し、その人生を垣間見ることによって、それが演奏に活きているのだと思ったりもする。
そんなワタシの舞台にも、お陰様で毎度たくさんのお客様がいらっしゃるのは、拙いながらもワタシの芸になんらかの魅力を感じてくださっているからなのだろう。
それがなんなのか
これからなにを目指すのか
いつまで演るのか…
わからないから面白いんだろうなぁ…」

杖をつきながら、そんなこと考え、帰路についたのでございました。