(日が経ってしまいましたが、書いておこうと思います)
今年1月末に、クラッシックギター界の巨匠、山下和仁氏が亡くなりました。
ほんとうに惜しい方を亡くしました。ギターに関しては全く無知で、これまでクラッシックギターの生演奏を聴く機会など殆どありませんでしたが、山下氏の生演奏に一度だけ触れたことがあるのです。
会場は開館して間もない大阪のザ・シンフォニーホール。私はまだ二十歳を過ぎた頃だったかと。
アイルランド出身のジェームズゴールウェイという(いまだ御健在)カラヤンベルリンの時の首席フルート奏者が退団し、ソロ活動を始めて来阪した時、大学の吹奏楽部でフルートを本格的に始めたばかりの私に、「ゴールウェイは是非聴くベし」と先生。
さて、小遣いはたいてシンフォニーホールへ。オーケストラをバックにフルートコンチェルトかと思いきや、大ホールのステージに演者は二人のみ。ゴールウェイと山下氏だったのです。
思えば山下氏も25歳くらいだったわけですが、ゴールウェイに目をつけられるとは、天才は天才を見抜くのですね。
先生の計らいで、終演後に楽屋を訪問できました。ゴールウェイは「さよなら」という日本語の響きが好きとのことで、楽器のケースにサインをしていただいたあと「さよなら」と挨拶したところ、満面の笑みをたたえて「サヨナラ」と返してくれたのを憶えています。
その時、同じ楽屋に座っていらしたのが山下氏。彼にもサインをいただきました。そのケースもリーフレットも今は何処へやらなのですが、学生時代の良き思い出です。
それから何十年も経って、吹奏楽団で演奏することはなくなったものの、YouTubeで過去の吹奏楽コンクールの動画を今でも視聴するなどしているのですが、岡山の就実高校の名演奏、スペインの作曲家ヒメネスの昨品「アロンソの結婚」をふと聴きたくなり検索すると、同曲の山下氏のソロによる演奏が表示されたのです。
元々は管弦楽曲なのですが、吹奏楽でも度々演奏されるこの曲は、スペインらしい力強さと華やかさがあり、ギターによる演奏もさぞかし良いだろうと視聴開始。
しばらくして、「おや?この御仁は…」とあの日のコンサートを思い出したのです。
その演奏はまさに「圧巻」のひと言。最後の音を待たずにブラボーの嵐!
視聴後、山下氏のことを調べてみると、ムソルグスキーの名曲「展覧会の絵」全曲をギターソロにアレンジするなど、世界的に有名なギタリストになられたことを知りました。
「きっと、ゴールウェイとのデュオのアルバムもあるばずだ」と検索し、入手。

「イタリアンセレナード・ゴールウェイ&山下」というタイトルのこの名盤は、1986年ロンドンで収録されたもの。あのコンサートはこのアルバムの発売記念だったようです。
酒場のBGMにはしっとりしすぎるので、このお客様なら…という時に流しています。
2月初めに尺八を嗜むお客様が来店した時に流すと、やはり御興味を持たれたか、「これ誰の演奏?」と。そこで私は、学生時代に知ったフルーティストとギタリストの共演であることなどを話しました。そして、山下氏は今どのような活動をなさっているのかスマホで調べると…なんと、その数日前に他界されたことを知ったのです。
今も聴きながらこれを書いているのですが、あの日の舞台が目に浮かんできます。
「アロンソの結婚」山下和仁
https://youtu.be/CykLS5fB8a0?si=l2JEn_9Sg5TmWMJf

