ミルク色の午睡

 2ndアルバムに収録した「雪の陽」フルート曲として友人でフルーティストの市瀬由紀さんが作ったこの曲に詞を付けてみようとあれこれ思案。

 実は「ミルクティー」という詞を入れたかったのですが、入れどころに迷い「ま、ええか」と入れない方向に…

 ワタシが中学生くらいの頃だったかと思います。姉の部屋に「ミルク色の午睡(シエスタ)」という詩集が置いてあり、こっそり持ち出して読んだことがあったのです(内容は覚えていませんが)。
 以降、条件反射で、牛乳(そのもの)や「ミルク」という文字を見ると眠気を催すようになったのです。


 ワタシは今、北上川沿いのマンションに住んでおり、毎日窓越しに川原の風景を見て過ごしています。
 遊歩道があり、コンクリートのベンチが置かれていて、犬の散歩をする人や腰掛けて語りあうカップルを眺めては物思いに耽ることしばしば…。そんな時にふと浮かんだ詞を並べました。

 詞がほぼ完成した頃、日々拝んでいる姉の仏壇の線香が無くなりそうだったので、買いに出かけたのですが、ちょうどその季節だったので金木犀の線香を買いました。
 すると「こちらもお試しください」と数本入りの試供品をくださいました。帰宅して開封すると、なんと!ミルクティーの香りの線香だったのです。そんな線香があるとは知りませんでしたし、珍しいものであることは間違いありません。
「これは、姉のいたづら(司令?)に違いない!」と、詞を見直し「ミルクティー」を入れることにしたのです。




 姉は青森の十和田のお山に眠っており、ワタシは納骨に立ち会って以来、諸事情でお参りしておりません。
 姉の娘(ワタシの姪)はその時にはおらず、おそらく一度もお参りしていなかったと思うのですが、その詞が完成した頃にメールがあったのです。
「お母さんのお墓参りをしてきたよ」と。
「姉さん嬉しかっただろうな」としみじみ。

 転々としてまいりましたが、今こうして故郷盛岡で店をやり、音楽活動を続けてこられた幸せを噛み締めてレコーディングに挑みました。
 歌うことで供養になるかと思います。

 さて、2023年もいよいよ暮れようとしています。
 今年も多くの方々にお世話になりました。心より感謝いたします。

ありがとうございました!!

2023年 大晦日 伊藤ともん